2006年冬。
我々、のりとあんがんの二人組は、のりの仕事の都合で、佐渡が島に引っ越してきた。
初めての離島での生活、普段こそそれほど不便を感じることはなかったが、休みの日になると困ってしまった。
さすがに離島・佐渡、デパートやらショッピングモールなどあるはずがない。ゲームセンターも動物園も当然のごとくない。新潟へ出ようにもフェリーで2時間半かかる。
出かけるところがないのである。
そこで、せっかく観光地である佐渡にきたのだから、休みの日はいろんな名所や旧跡を訪ねる旅をしようじゃないか、ということになった。
調べてみると、佐渡が島は、その独特な地形から生まれる自然や、歴史的な背景をうかがわせる文化遺産の宝庫であり、見所が島中にたくさんあるということがわかってきた。
その中で、ひとつの魅力的な観光パンフレットを見つけた。
「佐渡百選」
…暮らしの中で誇りに思う佐渡島の「宝」を、全島から募集しました。多数の応募の中から、島民ボランティアにより選出された「宝」が、「佐渡百選」となりました。身近な暮らしの中に残る魅力あふれる“本物のふるさと佐渡”、地元だから知っている“新しい佐渡”が集まりました。(佐渡百選実行委員会HPより)
これだ!
のりは、これを見てある企画を思いついた。
佐渡百選をすべて訪ねる旅をしよう。
すなわち、百選に選ばれた佐渡の100の魅力をひとつずつ訪ねる旅。
これなら有名どころはもちろん、隠れた名所みたいなのも回れそうで、なかなか楽しそうな旅である。
しかし、のりが考えていたのは、ただそれだけではない、とんでもない企画だったのである。